微視的構造物性

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微視的構造物性グループ 

物質の構造を通して,物性の起源をミクロな視点で明らかにする,構造物性研究を行っています。

主に放射光を使った回折実験から,様々な物性の起源に迫ります。

構造を通して物質の性質を知ることができると期待できる根拠は何でしょうか?

位置rにある原子に働く力Fを考えましょう。

固体全体のエネルギーをUとして,FUrで微分する事で得られます。

原子位置rを少し変えた時にエネルギーが

上がるのであれば元に押し戻されるし,

下がるのであればもっとその方向に原子は動くでしょう。

Uに影響するのは共有結合,イオン結合などに起因する弾性的な力だけでなく,

磁性などの電子の色々な性質も含まれます。

これが,構造を通して物質の性質を知ることができる根拠です。

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構造物性物理とX線回折 丸善出版 (2017). 

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正誤表

最近の出来事

2024年11

12 論文出版:

"Non-ferroelectric phase with disappearance of cycloidal magnetic structure in Tb0.515Gd0.485Mn2O5"

Y.Ishii, T.Sakakura, Y.Ishikawa, R.Kiyanagi, L.Jana, T.Aoyama, K.Ohgushi, Y.Wakabayashi, H.Kimura, and Y.Noda

Phys. Rev. B 110, 184404 (2024). (Editors' suggestion)

石井さん中心の研究です。マルチフェロイック物質の磁気構造と分極の関係を中性子磁気散乱で詳細に調べました。普通のGdは中性子を強く吸収してしまうため,同位体置換した試料を用いています。

4 プロシーディングス出版

"High-efficiency energy-domain multiline gamma-ray quasi-elastic scattering spectroscopy using triple absorbers"

R.Morobishi, M. Kobayashi, H. Nishino, T. Nishiyama Hiraki, Y. Honjo, K. Kobayashi, Y. Joti, K. Ozaki, Y. Imai, M. Yamaga, T. Abe, N. Nagasawa, Y. Yoda,  R. Mashita, T. Hatsui, Y. Wakabayashi, and M. Saito

Interactions  245, 349 (2024).

ナノ秒の原子ダイナミクス測定法の検出効率を大幅に向上した研究成果を発表しました。M2諸星さんの研究成果です。

2024年10

30 J-PARCワークショップ(構造不規則系研究会)で齋藤がオンライン招待講演を行いました。

28-11/4 SPring-8で実験。齋藤、諸星(M2)、黛(B4)

25-28 KEK PF BL-16で,M1二見,NIMSに移った石井さん,若林が実験(軟X線回折)

20-24 九州で開催されたThe 10th International Symposium on Surface Science (ISSS-10)にて,D1 Xu君とM2 藤澤君が発表。

14-16 KEK PF BL-8Bで,D1 Xu, B4 高原,若林が実験(薄膜構造解析用データ取得)

8 プロシーディングス出版: 

"Quasi-elastic γ-ray scattering study of α process under stretching in crosslinked rubber filled with silica via Mössbauer time-domain interferometry"

R. Mashita, Y. Yoda, Y. Bito, H. Kishimoto, M. Seto, T. Kanaya. M.Saito 

Interactions 245, 314 (2024) 

タイヤに使われるゴム材料のモデル系として、ゴムにシリカナノ粒子を混ぜた系のダイナミクスを調べた研究です。ゴムを引っ張ると、シリカナノ粒子が入っていない系にくらべてダイナミクスが大きく変化することを発見しました。住友ゴム工業株式会社との共同研究です。

4  表面技術協会誌に記事がでました。

"高速X線反射率測定による鉄の不働態皮膜形成初期過程の計測"

若林裕助,藤井宏昌,土井教史,表面技術 75, 440 (2024).


2024年9

25   石井助教の送別会を開きました。今後の活躍を期待します。

16-19  日本物理学会@北大,M2 Xu, 藤澤,諸星が発表。

2,3 齋藤が国際会議ISIAME2024(小倉)で口頭発表を行いました。また諸星君(M2)ポスター発表を行い、Young Scientist Paper Award を受賞しました。おめでとうございます!

2024年8

30   論文出版:

"Optoelectronic characteristics of furan substituted thiophene/phenylene co-oligomer single crystals for organic lasing" 

P. A. Praveen, T. Kanagasekaran, C. Ma, M. Terada, T. Jin, Y. Wakabayashi, and H. Shimotani

J. Mater. Chem. C 12, 15995-16003 (2024).

下谷グループが中心の研究,電流誘起 有機半導体レーザーの材料開発の研究結果です。新規有機半導体材料を合成・結晶化し,結晶構造解析によりキャリアの飛び移り積分を支配する分子間の相対位置を決定しました。光誘起でのレーザー発振を確認した上で,電流誘起の発光をトランジスタ構造で生じさせ,両極性トランジスタ動作とそれに伴うキャリア移動度の評価を行いました。

30   国際会議SRI2024(Germany)で齋藤が口頭発表を行いました。

29  助教の公募を開始しました。

25   国際ワークショップNRSworkshop(Germany)で齋藤が招待講演を行いました。

15   論文出版:

"Symmetry change in LaNiO3 films caused by epitaxial strain from LaAlO3, SrTiO3, and DyScO3 pseudocubic (001) surfaces"

F. Izumisawa, Y. Ishii, M. Kimura, T. Katase, T. Kamiya, J. Yamaura, and Y. Wakabayashi

J. Appl. Phys.  136, 075303 (2024).

卒業生 泉澤君の研究結果です (この研究室の場合,ほとんどの修士論文はこのような形で最終的には出版されます)。薄膜の構造解析をしました。LaNiO3薄膜はかなり広く研究されている薄膜ですが,基板によって膜の構造が変わります。ベイズ推定の手法も用いて,定量的に構造を確定しました。(DyScO3基板の上の膜に対しては完全に決めきれなかったのが少々残念ではあります)

2024年7

23-31 SPring-8で実験。齋藤、諸星(M2)、藤澤(M2)、黛(B4)

22  M2 Xu君の修士論文発表会。

15-18  若林が表面回折の国際会議 SXNS に出席。

6 論文出版:

"Microscopic evaluation of orbital magnetic moment under ferromagnetic resonance"

Y. Ishii, Y. Yamasaki, Y. Kozuka, J. Lustikova, Y. Nii, Y. Onose, Y. Yokoyama, M. Mizumaki,  J. Adachi, H. Nakao, T. Arima, and Y. Wakabayashi

Scientific Reports 14, 15504 (2024).

時分割XMCD測定を通して、磁性薄膜中のスピンと軌道モーメントの歳差運動の様子を直接観測を報告した論文です。

2024年6

26 論文出版:

"Microscopic Observation of the Anisotropy of the Johari−Goldstein‑β Process in Cross-Linked Polybutadiene on Stretching by Time-Domain Interferometry"

R. Mashita, M. Saito, Y. Yoda, N. Nagasawa, Y. Bito, T. Kikuchi, H. Kishimoto, M. Seto, and T. Kanaya

ACS Macro Lett. 13, 847–852 (2024). 

延伸したゴムに対してミクロなJohari-Goldstein緩和に異方性が見られること発見し、その成果をまとめた論文です。

18 論文出版:

"Broadband Quasielastic Scattering Spectroscopy Using a Multiline Frequency Comblike Spectrum in the Hard X-Ray Region"

M. Saito, M. Kobayashi, H. Nishino, T. Nishiyama Hiraki, Y. Honjo, K. Kobayashi, Y. Joti, K. Ozaki, Y. Imai, M. Yamaga, T. Abe, N. Nagasawa, Y. Yoda, R. Mashita, T. Hatsui, and Y. Wakabayashi

Phys. Rev.  Lett. 132, 256901 (2024).

新しいナノ秒の原子ダイナミクス測定法の開発を報告した論文です。プレスリリースも行われました。

10 DESY(German Electron Synchrotron)で齋藤が招待講演を行いました。

7 フリードリッヒ・シラー大学イエーナで齋藤が招待講演を行いました。

2024年5

13-6/2  石井組,若林組がKEK PFで長期実験。最大3ビームライン同時進行。疲れた。

23 粉体粉末冶金協会 2024 年度春季大会で齋藤が招待講演を行いました。

17 論文出版:

"Recent advances in atomic resolution three-dimensional holography"

H. Daimon, T. Matsushita, F. Matsui, K. Hayashi, and Y. Wakabayashi

Advances in Physics: X, 9(1), 2350161-1-29 (2024). (Review article)

2024年4

26 国際会議OPIE2024&LSC2024で石井が招待講演を行いました。

22  新入生歓迎会

1 新人が3人入ってきました。楽しくやりましょう。

2024年3

5  2023年度の送別会を開きました。それぞれの道を頑張って歩いてください。

1 核共鳴散乱研究会で齋藤が発表を行いました。

2024年2

20-29 PF BL-4Cで,M1藤澤,M2Xu,石井,下谷,若林(教員は入れ替わり)が実験。今回はすごくうまく行った感じ。

21  高分子学会講演会で齋藤が招待講演を行いました。

9 論文出版: 

"A Three-Dimensionally Extended Metal–Organic Ladder Compound Exhibiting Proton Conduction"

H. Liang, K. Otsubo, Y. Wakabayashi, H. Sagayama, S. Kawaguchi, H. Kitagawa

Angew. Chem. Int. Ed. 63, e202400162 (2024). Hot paper

京大の北川宏先生のグループ中心の,新規錯体合成の研究です。3次元的に秩序化していない低次元構造を正しく見る,という特殊な計測を我々は行いました。このページの最初の動画はこの論文に関するデータです。

2024年1月

29,30 修士論文発表会。M2の3名が発表しました。よく頑張ったと思います。

10-12  放射光学会でM2 Xu君が発表。

2023年12

5-13  PF BL-4C, 3Aで,M2 Xu, M1 藤澤+下谷,若林が実験。途中でインフルエンザ騒動。

2023年11

28 国際会議ISQBS2023で石井が招待講演を行いました。

13-30 PF BL-16Aで実験。石井、 二見(B4)。

14-21 SPring-8で実験。齋藤、小林(D3)、伊藤(B4)。

13 国際会議Hyperfine2023で齋藤が口頭発表を行いました。

10-12  PF BL-8Bで M2 Xu, B4 出口,若林が実験。薄膜色々。

2023年10

20 芋煮会を開催。4年ぶり2回め。

2023年9

25 論文出版:

"The false beat signal of a high-speed X-ray imaging detector for synchrotron radiation experiments and its elimination with a synchronized CITIUS detector "

Haruki Nishino, Kazuo Kobayashi, Yoshiaki Honjo, Toshiyuki Nishiyama Hiraki, Kyosuke Ozaki, Yasuhiko Imai, Mitsuhiro Yamaga, Yasumasa Joti, Nobumoto Nagasawa, Yoshitaka Yoda, Alfred Q.R. Baron, Masashi Kobayashi, Makina Saito, Takaki Hatsui

Nucl. Instrum. Methods Phys. Res. A. 1057, 168710 (2023).

16-19  日本物理学会@東北大。石井助教,M2阿部,M1藤澤,諸星が発表しました。

6 国際会議ISMC2023で齋藤が口頭発表を行いました。

2023年8

29  SPring-8/SACLA Research Frontiers 2022に我々の研究が掲載されました。

Organic Semiconductor:

Phonon dispersion curve of the organic semiconductor rubrene

Y. Wakabayashi

22, 24  大学院入試の日。お疲れ様でした。

18 国際会議9thIDMRCSで齋藤が招待講演を行いました

2023年7

3 物理系研究棟 災害復旧工事のため,工事区画に入った部屋から退避。同じフロアの別の部屋に随時移っていきます。

2023年5

25 論文出版:

"Development of Multi-scale Soft X-ray Diffraction Microscope for Observing Spin Textures"

Yuta Ishii, Yusuke Kozuka, Yuichi Yamasaki, and Hironori Nakao

JPS Conf. Proc. 38, 011190 (2023). Proceedings of the 29th International Conference on Low Temperature Physics (LT29).

20  下谷グループのPDとしてPraveenさんが来日しました。

8  連休明けから放射光実験の季節。うちの研究室は,なかなか全員揃うという事が無くなります。

2023年4

26  論文出版:  

"Quantitative measurement of structural fluctuation at LaNiO3/LaAlO3 interfaces as a function of thickness" 

K. Nagai, M. Anada, K. Kowa, M. Kitamura, H. Kumigashira, H. Tajiri, and Y. Wakabayashi

Phys. Rev. Materials 7, 043604 (2023).

超薄膜の構造ゆらぎと伝導性の関係について,少し従来と違った角度で見てみました。

3  新年度。学部生4人が研究室に入ってきました。

2023年3

29 石井さんが2022度日本中間子科学会奨励賞を受賞し,受賞記念講演(オンライン)を行いました。

15  物理学会誌に記事が出ました。

"有機半導体のフォノン分散" 

若林裕助,濱田幾太郎,筒井智嗣, 物理学会誌 78, 135-138 (2023). (cover illustration)

6 京都大学の荒木氏に訪問いただき、Johari-Goldstein緩和に関するセミナーを行ってもらいました。

3 核共鳴散乱研究会で、齋藤が口頭講演を行いました。


Department of Physics, Graduate School of Science, Tohoku University, 6-3, Aramaki Aza-Aoba, Aoba-ku, Sendai 980-8578, Japan