research
研究内容紹介 ミクロとマクロを繋ぐ---構造物性研究
我々のグループでは,X線回折実験を通して,微小な構造変化を捉えることで物質の性質を理解します。
(X線回折に関する詳細はこちらの7ページの短い説明およびこの動画を参照,もっと詳しくは教科書を参照。実験の様子はこちら。)
対象は様々で,
強相関物質(遷移金属酸化物,f電子系など)を中心に,有機半導体・伝導体,錯体など
別の基準では
単結晶,数十nm厚の薄膜,数nm厚の超薄膜,界面,表面
を測定しています。
最近では情報科学の専門家と協力して,表面の構造解析の手法開発も行っています。
やってみたいこと:固液界面などでの化学反応を見てみたい。化学に分類されている分野を物理に取り込みたい。
我々の研究の流れ
- ある物質を理解するために,どのような構造的な特徴を知ればよいかを考えます。(ここで物性物理の知識を使う)
- それを知るためにどんな測定が必要であるか考えます。(ここでX線回折理論の知識を使う)
- 実際に測定します。 特定の周期構造が現れる様を見ることが重要であるような場合,ここですぐに結論が出ます。
- 実空間の情報が必要である場合は,その後で解析を行います。(ここで再びX線回折理論の知識を使う)
- 得られた実験結果から,その物質に対する物理の考察を行います(ここで再び物性物理の知識を使う)
試料は外部の共同研究者から提供を受けますので,特に1と5のステップで共同研究者との相談が重要になります。
過去の研究例
世界初の●●の測定
化学反応を見る
- 鉄の黒錆を電気化学的に作る初期過程 錆が進行する過程の原子スケールのモデル構築
金属酸化物
酸化物表面・界面
- 絶縁体界面に現れる導電性の起源とその制御法(日本語記事)
- ものの表面の電子状態を見る ~ 放射光で見る表面の電子軌道秩序 ~
- 結晶表面の存在が金属酸化物の中の電子にどう影響するか - 金属酸化物を用いた電子デバイスへの期待 -
- 磁石に近づけると電気が流れる ~ 超巨大磁気抵抗効果の新たなしくみ ~
有機半導体
錯体
手法開発
学生の研究生活
研究室に入った新入生は,4月から5月のうちに回折理論の勉強をして,実験室の装置で実験練習をします。
多くの四年生は実験室の装置を使ったテーマか,装置開発的なテーマで卒業研究をします。その間に,一度くらいは放射光実験を経験できるようにしています。
院生は放射光施設での実験を年に2~3回やる見当ですが,運や技術力などで回数は変わります。これまで,3年間うちで研究したほとんどの学生が国際会議で成果報告をしています。
博士課程の学生は何ヶ月の単位で海外での経験を積めるようにします。(例:2017年度,穴田君が米国Argonne National Lab. のDr. Hua Zhouのグループに2ヶ月半の滞在, 2018年度,藤井君がドイツ Kiel大のDr. Bridget Murphyのグループに2ヵ月半の滞在)
研究風景
放射光施設で実験中のY君
一年たったら,物理学会で結果を発表するほど新しい事が分かりました。
学会初参加で緊張の面持ちのI君
海外での国際会議で頑張るY君
学生部屋